ゴアテックスレインウェアの洗濯、簡単メンテナンス方法を解説!

登山などのアウトドアウェアに欠かせないのがゴアテックス(GORE-TEX)をはじめとするレインウェアです。突然の悪天候時の風雨をしのいだり、寒い時には防寒着としても活用できます。そんな強い味方のゴアテックスレンウェアも正しくメンテナンス、洗濯をすることで長く愛用することができます。今回は、ゴアテックス(GORE-TEX)などのレンウェア全般の洗濯をどうすれば良いのか、適切なメンテナンス方法について紹介していきます。

そもそもレインウェアって洗濯したほうがいいの?

レインウェアの大敵は外部からの汚れです。その汚を落とすために洗濯が適切な処置になります。山へ出かければ、雨や泥で外側に汚れが付くことで撥水機能が落ちてしまい、水をはじかなくなって透湿性が失われます。また、内側からは汗や皮脂による見えない汚れが付きます。レインウェアは縫い目から雨が入ってこないようにシームテープが貼られており、汚れがたまるとテープが剥がれやすくなってしまします。剥がれてしまうと縫い目から水が入ってくることになり、防水ではなくなってしまいます。

ゴアテックス(GORE-TEX)とは

ゴアテックスとは、防水耐久性・透湿性・防風性を兼ね備えた素材で、アウターや靴などに使われています。ゴアテックス素材で作られたものは、雨の侵入や風を防ぎながら、内側からの汗などの湿気を外に出せます。また、耐久性にも優れており、しっかりとお手入れをすれば長く愛用ができる素材です。ゴアテックスに限らず、レインウェアには、防水透湿性・防風性がある素材が採用されています。

QA 洗濯すると傷みやすいのではないですか?

全くの逆です。可能であれば、使用毎に洗うことで、長持ちすることができます。防水透湿性素材にとって大敵なのが、汗や皮脂、雨水に含まれるホコリや化学物質など目に見えない汚れです。放っておくと生地の機能が低下する原因となります。

 

レインウェアの洗濯、メンテナンス方法

具体的な洗濯手順を見ていきます。簡単に手順だけを知りたい方は飛ばしてまとめをご参照ください。

1 洗濯表示を確認

まず、洗いたい洗濯物のタグを確認しましょう。そこにどのような洗濯が可能かが記されています。

写真のタグは、モンベルのストームクルーザー(左)とティートンブロスのTBジャケット(右)の表示です。

2つを比較してみると、同じ表記もあれば、違う表記もあります。モンベルのストームクルーザーはゴアテックスのレインウェアです、一方ティートンブロスのTBジャケットはポーラテック社のネオシェルという素材を使用*しています。両者ともに、アウトドアで一番上に着るレンウェア、ハードシェルです。

 

*ティートンブロスは2021年より東レと共同開発した新素材「Täsmä(タズマ)」を採用しています。

表示の見方は、平成28年12月から表記が新しくなっています。

これを参照に2つの洗濯方法を見てみると、(クリーニングについては今回割愛します)

モンベル ストームクルーザー:40度限度、洗濯機「弱」、漂白剤✖️、タンブル乾燥機80℃まで、日陰つり干し、アイロン低温110℃まで

ティートンブロス TBジャケット:30度限度、洗濯機「標準」、漂白剤✖️、タンブル乾燥機✖️、日陰つり干し、アイロン低温110℃まで

という結果になりました。ウェアによってメンテナンスの仕方が違うことが表示を見ることでしっかりと確認できます。TBジャケットに関しては、タンブル乾燥が使用できないので、熱処理をする方法としてはアイロンをかけるしかないというのがわかります。

 

Q&A タンブル乾燥ってどういうもの?

 →一般的に家庭内ドラム式洗濯機やコインランドリーに設置されている回転式の乾燥機のことをいいます。

2 全体の汚れを確認

今回は、ティートンブロスのTBジャケットを洗濯します。大事なのは、汚れを残さないことです。ウェアの全体を確認し、汚れがひどい部分があれば、手洗いでその箇所だけをまず洗浄しましょう。表面の汚れを落とすことで撥水性も保て、結果として透湿性能を落とさずに使用できます。

3 ファスナー、ポケット、ベルクロをすべて閉じる。フードは広げた状態で、ドローコードは緩める

ウェアに付属しているファスナーや、ポケット、ベルクロを全て閉じましょう。閉じることで、接触や摩擦などで生地と生地とが傷むのを最小限にすることができます。また、収納式のフードの場合は、広げておき、ドローコードなどはゆるめて、生地を伸ばしておきましょう。

4 洗濯洗剤は専用洗剤もしくは、柔軟剤、漂白剤、香料が使用していない液体の中性洗剤もしくは弱アルカリ性洗剤を使用する

洗剤は液体洗剤を使用します。粉末は粉が落ちにくいため、洗浄しても残ってしまう可能性があるためです。洗剤は柔軟剤、漂白剤、香料を使用していない中性・弱アルカリ性洗剤を使用します。生地を極力傷めないためには中性の洗剤が良いとされていますが、より洗浄力があるのは弱アルカリ性の洗剤でしょう。アウトドア専用洗剤でも中性のものと弱アルカリ性のものがありますので、どちらを使用しても問題ないと思われます。

QA アウトドア専用の洗剤じゃなく、市販によく流通している洗剤でも良いのでしょうか?

 市販の洗剤でも良いです。柔軟剤、漂白剤、香料が使用していない液体の中性洗剤もしくは弱アルカリ性洗剤であれば良いでしょう。より添加物が入っていないものが生地の性能を損ねずに洗うことができます。そういった観点からすると、専用洗剤はアウトドアウェアに特化した洗剤なのでより適した洗剤とも言えます。

Q&A なんで柔軟剤、漂白剤、香料等が入っているといけないの?

 柔軟剤や香料は洗濯しても衣類に残ることでその効果を出すことを目的としているため、防水透湿性のレインウェアに残存することで本来の機能が出せなくなってしまいます。そのため、余計な添加物はないほうが良いのです。

ちなみに、筆者は以前はファイントラックの『オールウォッシュ』やグランジャーズの『パフフォーマンスウォッシュ コンセントレート』を使用していました。

現在は、市販のドラックストアで販売している添加物少なめの(肌にも環境にも優しい)ものを使用して洗濯しています。価格とケアのバランスをどうとるかというのが人それぞれの判断になるでしょう。ここぞって時のアウトドア洗濯用にアウトドア専用洗剤が家に1つあってもいいですね。参考にリンクを貼っておきます。

5 洗濯機の場合 洗濯ネットに入れ、マニュアル設定ですすぎを通常の2倍に、脱水はしない!

洗濯ネットを使用することで、洗濯時の生地の損傷を抑えることができます。そのため、複数のウェア洗う場合はを1つずつネットに入れることが望ましいです。洗濯機の設定は、機械によって機能がそれぞれですが、マニュアル設定ですすぎを通常の2倍に設定します。通常2回すすぎを行なっている場合は、4回を目処に行います。また、脱水はしません。防水性素材は水を通さないので脱水処理をする際に生地を傷めてしまう原因になってしまうためです。

6 風通しが良い日陰で干す

洗濯が終わったら、風通しが良い日陰で干します。濡れた状態のままですので、ポケットやフードなど水が溜まりやすい部分の水抜きをしましょう。早く乾かしたい場合は、表面が乾いたら裏面にひっくり返して乾かします。風通しが良い日陰の場所は、一軒家のお宅でしたら適した場所が色々とありそうですが、賃貸や一人暮らしのアパートなどは案外ないものです。そんな方でも浴室は換気扇が回っていますし、日も入って来ないので適切な場所になります。筆者もアウトドアウェアを洗った後はこちらを活用しています。

Q&A いつもアウトドアで使用しているのに、なんで日陰干しじゃないといけないの?

 →直射日光や紫外線は、アウトドアウェアにとっても少しずつダメージとなります。特に、濡れたものが直射を浴びて乾いていく過程で、繊維に与えるダメージが大きくなってしまいます。少しでも長持ちして使用するには陰干しが適しています。

 

7-1 熱を加えて撥水性を復活させる ①乾燥機を使用する場合

乾燥機を使用する場合は低温(ソフトコース)で20分程温風乾燥を行います。

7-2 熱を加えて撥水性を復活させる ②アイロンで行う場合

アイロンで熱処理を行う場合は、スチーム機能は使わずに、低温で行います。手ぬぐいなどの当て布の上からゆっくりかけましょう。ちなみに、今回のTBジャケットはタンブル乾燥ができないので、アイロンで行いました。

※手洗いの場合 押し洗いでなるべくやさしく、すすぎは多めに

大きめのバケツなどにぬるま湯を入れ、適量の洗剤を入れます。良く混ぜて、レインウェアを入れ、押し洗いでやさしく洗いましょう。20分程度つけ置き洗いをしておきます。

その後、しっかりとすすぎます。大きめのバケツを使ってもいいですが、湯船を使える場合は、そちらで多めの水量で洗浄することにより効果的に洗剤を落とすことができます。

このあとは、洗濯機と同様に乾燥と熱処理をして完了です。

大きめの良さそうなバケツがなかったので筆者は下記の商品を購入しました。サイズ感もちょうど良く、大きめのザックなんかもこちらで手洗いができてとても重宝しています。コンパクトに折りたためて収納できるのもとても良いです。

 

撥水性能が落ちてきたら撥水剤を活用

ゴアテックスや多くのレインウェアには、耐久性の高い撥水加工が施されていますが、徐々にその機能も低下していきます。洗濯や熱を加えても撥水性が回復しないと感じたら、撥水剤を使用して、性能を回復させましょう。種類としては、スプレータイプと、ウォッシュインタイプ(水に溶かしてつけ置きする)があります。スプレータイプは、密閉された部屋で使用した場合、その成分が気管から肺胞に付着して窒息するという事故が起きる危険があるので十分に気を付けてください。外でスプレーしてくださいと表記があります。できるだけ換気を良くして行いましょう。ウォッシュインタイプもつける際にゴム手袋を使用しましょう。手がコーティングされてしまう可能性があります。

 

まとめ

ゴアテックスなどのレインウェアの洗濯は、汚れがついたら(汗なども含む)その都度適切に洗濯をすることで、機能を保った状態で長く使用することができます。洗濯手順は、

①洗濯表示を確認

②全体の汚れを確認。

③ファスナー、ポケット、ベルクロをすべて閉じる。フードは広げた状態で、ドローコードは緩める

④洗濯洗剤は液体専用洗剤もしくは、柔軟剤、漂白剤、蛍光剤が使用していない液体の中性洗剤もしくは弱アルカリ性洗剤を使用

⑤洗濯機の場合は、洗濯ネットに入れ、マニュアル設定ですすぎを通常の2倍に、脱水はしない。手洗いの場合は、押し洗いでなるべくやさしく、すすぎは多めに

⑥風通しが良い日陰で干す

⑦熱を加えて撥水性を復活させる。乾燥機を使用する場合は低温で20分程度、アイロンはスチームなしの低温で当て布をしてゆっくりと

以上です。ゴアテックスなどのレンウェアは高価な買い物なので、適切な洗濯を行ない、愛着のものを長く使い続けたいですね。

 

おまけ ビフォーアフター

今回、洗濯を行なって、熱処理をした結果かなり撥水効果も回復しました。特に左胸あたりがベチャーとなって撥水機能が落ちていましたが、アフターでは撥水がしっかり戻っていました。

ビフォー before

アフター after

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走って47都道府県をめぐる旅「日本一周☆旅ラン」を実施&完走(2015-2016)。 サブスリー達成。トライアスロンアイアンマンレース完走。「走る」を通じて「自然」、「旅」、「人」、「走ること」のすばらしさや楽しさを伝える。