日本には、古くから山岳信仰が根付いており、霊山は数多く存在しています。その中でも、「日本三霊山」と言われている山があります。それが、「富士山、白山、立山」です。今回は日本三霊山についての魅力や特徴を紹介し、実際に登山するための情報を掲載しています。今回の記事を通して、日本三霊山(富士山、立山、白山)へ訪れてみてはいかがでしょうか。
目次
日本三霊山の富士山、立山、白山とは
富士山は、静岡県と山梨県にまたがる独立峰で、剣ヶ峰が標高3,776mで日本最高峰です。
浅間信仰の対象であり、山頂には富士山本宮浅間大社の奥宮があります。
山頂部に火口をもち、その外周には剣ヶ峰、三島ケ岳、成就ケ岳、伊豆岳、大日岳、久須志岳、白山岳があり富士八神峰と呼ばれています。
富士山の参詣を描いたもので著名なものが富士参詣曼荼羅があります。
立山は、富山県南東部にある飛騨山脈(北アルプス)北部の群峰で、雄大な山塊です。
立山信仰の対象であり、立山曼荼羅と呼ばれる絵巻物を通じて全国から集客しました。
立山という単体の山はなく雄山、大汝山、富士ノ折立の3つの山を総じて立山と呼んでいます。
一般に立山登山というと雄山を登ることをさし、山頂には雄山神社峰本社があります。
立山は火山活動の影響により火山ガスの噴気や熱湯が沸き立ち、異臭が立ちこめている地獄谷があります。
白山は、石川と岐阜、福井の3つの県にまたがる山です。白山と言う単体の山は存在せず、午前峰、大汝峰、剣ケ峰の3つを白山山峰と呼んでいます。
最高地点は御前峰で標高は2,702mです。白山信仰の対象で、山頂には白山比咩神社の奥宮があります。手取川と庄川の分水嶺であり、九頭竜川や長良川の水源地にあたるため、水神信仰としての霊山としても有名です。
平安時代の初期頃には登拝拠点として加賀、越前、美濃の三馬場が成立した。加賀では白山本宮白山寺(現在の白山比咩神社)、越前では白山中宮平泉寺(現在の平泉寺白山神社)、美濃では白山本地中宮長瀧寺(現在の長滝白山神社)が各馬場における中核的宗教施設として発達しました。
白山の参詣を描いたもので白山曼荼羅が複数現存しています。
日本三霊山のアクセスや登山口、ルートの特徴は?
富士山、白山、立山は、それぞれ異なるアクセス方法がありますの紹介をしていきます。
富士山の特徴とアクセス
富士山については、吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートの4つの登山ルートがあります。
・「吉田ルート」の特徴
一番利用者が多く有名なのが山梨県側の吉田ルートです。富士山を登頂する約半分が吉田ルートを利用しています。富士スバルライン五合目を出発し、六合目で吉田口登山道と合流します。登るルートと下山ルートが別になっており、下山ルートでは山小屋がほとんどありません。下山ルートの八号目で須走ルートと下山道の分岐があるので要注意です。吉田ルート側へ下山しましょう。
・アクセス
例年開通は7月1日、閉鎖は9月10日です。(7月1日~7月9日までは山梨県側の吉田ルートのみ開通)
マイカーによる混雑の緩和と排気ガスによる環境への負荷軽減のため登山期間中マイカー規制を実施しています。
期間やその他詳細は公式のサイトをご参照ください。
・「須走ルート」の特徴
比較的標高が高い場所まで樹林帯があります。登山ルートと下山ルートが別になっており、下山道は八号目で吉田ルートとの分岐があるので要注意です。上りの登山道は本八号目から吉田ルートと合流します。下山時には火山砂利の下山道を一直線に下る「砂走り」があります。
・アクセス
例年開通は7月10日、閉鎖は9月10日です。
マイカーによる混雑の緩和と排気ガスによる環境への負荷軽減のため登山期間中マイカー規制を実施しています。
期間やその他詳細は公式のサイトをご参照ください。
・「御殿場ルート」の特徴
標高が低い地点からスタートのため健脚向きですが傾斜は緩いです。4つのルートの中で一番人が少ないため静かな登山を好む方向きです。また山小屋が少なく、登山ルートと下山ルートが別となっています。火山砂利の下山道を一直線に下る「砂走り」があります。
・アクセス
例年開通は7月10日、閉鎖は9月10日です。
御殿場ルートはマイカー規制はありません。
その他交通機関の詳細は公式サイトをご参照ください。
・「富士宮ルート」の特徴
一番標高が高い位置からスタートのため距離が一番短いです。 登山ルートと下山ルートが同じのため迷いにくい反面、登山者が多いときは混雑することもあります。全体的に傾斜は急で岩場もあります。
・アクセス
例年開通は7月10日、閉鎖は9月10日です。
マイカーによる混雑の緩和と排気ガスによる環境への負荷軽減のため登山期間中マイカー規制を実施しています。
期間やその他詳細は公式のサイトをご参照ください。
立山の特徴とアクセス
立山への登山口の拠点は立山室堂です。マイカーは規制されているため、立山黒部アルペンルートを利用して室堂まで行くことができます。
○立山室堂(車は立山駅)
・900台(混雑時臨時駐車場600台)
・トイレあり
マイカーは規制されているため、立山黒部アルペンルート、または団体バス、夏山バス(https://www.chitetsu.co.jp/?page_id=6376)を利用する必要があります。
・立山黒部アルペンルート
立山黒部アルペンルートの起点である富山県側の立山駅に駐車場があります。富山地方鉄道本線の富山駅から電車で行くことができます。立山駅からケーブルカー、立山高原バスを乗り継いで室堂ターミナル(標高2450m)までアクセスが可能です。
より詳細の情報は下記サイトをご参照ください。
参考 立山黒部アルペンルート
○立山駅(歩くアルペンルート、材木坂)
乗り物がなかった時代に登山道や禅定道(信仰の道)として歩いていた道をたどるルートです。昔と全く同じルートではありませんが、かつての修験者や信者の方が通ったという歴史を感じながら登ことができます。
登山口は立山駅北側の国立登山研修所へ向かい、研修所の門手前の右手に登山口があります。看板等ないのでわかりにくいです。
白山の特徴とアクセス
白山については、登山口が複数あります。
○市ノ瀬、別当出合(砂防新道、観光新道ルート)の特徴
市ノ瀬、別当出合からの登山が一般的で一番メジャーな登山口です。多くの利用者がいるため登山道もしっかりしており初心者からでも安心なルートです。
○アクセス
グリーンシーズンの「市ノ瀬~別当出合」間は、週末、休日を中心に交通規制(約6km)を行っており有料シャトルバスが出ています。
マイカー以外のアクセスは登山バスがあります。登山バスの詳細は白山室堂の登山情報サイトをご参照ください。
○一里野、ハライ谷(加賀禅定道ルート)の特徴
白山北部からのルートでかつての加賀禅定道を通るルートです。長い縦走を伴うため健脚向きのコースです。
◯アクセス
- 駐車台数:数百台
- 駐車料金:無料
- トイレあり
より詳細の情報は下記サイトをご参照ください。
参考 登山口駐車場
・交通機関
白山コミュニティバスめぐーる「一里野」下車
◯新岩間温泉(楽々新道、岩間道)の特徴
※2023年8月現在岩間温泉元湯への道は崩落のため通行止めとなっています。
白山北部からのルート加賀禅定道ルートの東側を通り、楽々新道、岩間道と呼ばれます。長い縦走を伴うため健脚向きのコースです。
◯アクセス
- マイカーのみ
- 駐車台数:17台
- 駐車料金:無料
- トイレあり
より詳細の情報は下記サイトをご参照ください。
参考 登山口駐車場
◯中宮温泉ビジターセンター(中宮道)の特徴
白山北部からのルートで、中宮道と呼ばれます長い縦走を伴うため健脚向きのコースです。途中に滝ヶ岳やゴマ平避難小屋、地獄覗、北弥陀ヶ原を通るルートです。
◯アクセス
マイカー
- 駐車台数:50台
- 駐車料金:無料
- トイレあり
参考 登山口駐車場
交通機関
1日1便あり、一里野までは何便かあり徒歩でという方法もある
◯大白川ダム、白水湖(平瀬道)の特徴
富山県からの唯一のルートです。
◯アクセス
- 収容台数:30台
(大白川駐車場にさらに70台程度駐車可能) - 駐車料金:無料
- トイレあり
より詳細の情報は下記サイトをご参照ください。
参考 登山口駐車場
◯石徹白登山口、別山登山口(美濃禅定道、南縦走路ルート)の特徴
岐阜側から登る登山道、かつての美濃禅定道を通る道
◯アクセス
- 駐車台数:20台+路肩
- 駐車料金:無料
- トイレあり
より詳細の情報は下記サイトをご参照ください。
参考 登山口駐車場
◯馬狩、大窪(鶴平新道、三方岩岳、北縦走路ルート)の特徴
北縦走路として長い縦走が続く。かなりの健脚向きです。
◯アクセス
- 20台/無料
- トイレなし
より詳細の情報は下記サイトをご参照ください。
参考 登山口駐車場
「日本三霊山」と「日本三大霊山」は全く異なる山
「日本三霊山」は、富士山、白山、立山(または木曽御嶽山)を指します。
これらの山々は、古来より山岳信仰の盛んな日本においてもより強い信仰をされてきましたため、日本三霊山とされています。
一方、「日本三大霊山」は、仏教寺院の比叡山、高野山、恐山を指します。これらの寺院は、比叡山は天台宗、高野山は真言宗の総本山とされており、恐山は曹洞宗とされています。(曹洞宗の総本山は永平寺、總持寺とされている)
そのため、「日本三霊山」と「日本三大霊山」は文字の「大」がつくかによって全く別の山を指しています。
日本三霊山を通しで巡礼する「三禅定」を昔の人は行っていた
三禅定(さんぜんじょう)」とは、日本三霊山である白山・立山・富士山を登拝・巡礼する信仰習俗のことをいい、昔の山伏・修験者らが修行として行なってました。
江戸時代には、霊山の信仰は民衆へと届けられ定着していき、三禅定の巡礼へ赴く人々が出てきました。ちなみに、三禅定は一度にまとめて三山を巡ることが慣わしだったそうなので、夏場の1~2ヶ月をかけて巡っていたようです。江戸時代の人たちも知らない土地へ出向き、旅(旅行)をすることに楽しみや新たな情報や視点を得ていたのかもしれません。
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富士山、立山、白山を登って日本三霊山を制覇しよう!
日本を代表する霊峰の富士山、立山、白山は昔から多くの人から信仰されてきました。
現代も多くの人の魅力を惹きつけてやまない日本三霊山の山々。
この夏、あなたも登ってみてはいかがでしょうか。
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