2022年10月22日(土)に北アルプスの乗鞍高原にて、登山道整備「たまには山へ恩返しin乗鞍」を行われたので、参加してきました。
今回の登山道整備は「のりくら観光協会」と「合同会社北海道山岳整備」により企画されているボランティアイベントです。
講師は、合同会社北海道山岳整備の『岡崎哲三』さんです。近自然工法の先駆者として北海道の大雪山をメインフィールドとして活動され、現在は全国各地で近自然工法の啓蒙活動も積極的に行われています。
○登山道も自然の開発行為。作ったからには最大限活かして共存を目指す。
当日は、乗鞍高原をフィールドとしている、山小屋、アウトドア関係の方をはじめ、遠方では愛知県、埼玉県から訪れた人もいました。皆さん乗鞍が好きで、登山道整備を通して貢献をしたいという人たちです。
今回の整備箇所は、マイカー規制の乗鞍エコーラインを通って「位ヶ原山荘」から登山道を進んで30分程度の場所です。
整備箇所に行きながら、ポイントで立ち止まり岡崎さんによる、解説があります。
「複数人で登っている時は中々できないかもしれないけれど、1人で時間がある時に観て欲しい。自然の中にそのカタチになっている答えがいっぱいあります。」
「普段何気なく歩いている登山道やその横に流れている谷や水みちを時に立ち止まってじっくり観察してみて欲しい。」
「人は自然を破壊して開発を行っているけれど(登山道も開発にあたる)、人が作ったものは最大限有効に活用し、自然環境を元あるかたちに近い状態に戻していく、自然との共存をしていきたい。」
そう岡崎さんはおっしゃっていました。
○視点の切り替えで世界が変わる
またこの時期の標高が高い場所では夜になると寒いときでは氷点下になり土に霜が降りているのが見受けられます。その霜柱が溶ける際に土壌を侵食していきます。これを「凍結融解現象(とうけつゆうかいげんしょう)」といいます。
土壌をよく見るとふっくらと膨らんだ跡。
雨粒が同じ場所に何度も落ちる「雨滴」による土壌の浸食もあります。
つまり自然の中でも、少なからず環境変化をうけて、浸食や地形の変化が行われていることがわかります。
次に、立ち止まったエリアへ。
「登山道上でよく見受けられる光景です。
登山道左右の法面(のりめん)が削られ、植生が生えなくなると、少しずつ崩れていき、雨とともに流されてさらに削られていく。という構造になっています。
この法面の角度・斜度がどのくらいだと植生が復元していくか?
を考えて、どの程度の高さまで土砂止めをすれば、良さそうか。水の流れを分散させる道はあるか?なかったらどこに作るか?
といったことを考えていきます。
要は視点の切り替えをしています」 と岡崎さん。
なるほど。普段、何気なく歩いている登山道ですが、そこの道がその道の状態になっている要因が隠されている(別に隠してないのですが、見えていないだけ)ということなんですね。
日頃そこまでの視点を持って山へ行く機会はなかったのでとても学びの時間とになりました。
さて、整備現場ようやく到着してこれからいよいよ整備にとりかかります。
<参照>
パンフレット「登山道を直す~近自然工法の考え方と技法~」の作成について | 信越自然環境事務所 | 環境省
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