世界遺産・五箇山「道宗道トレイル2025」〜自然と人がつないだ新たな挑戦

2025年10月12日(日)、富山県南砺市を舞台に「世界遺産・五箇山 道宗道トレイル2025」が開催された。秋晴れの空のもと、ロング(57K)とミドル(28K)の2部門でランナーたちが道宗道の大自然を駆け抜けた。2019年依頼、リニューアルして復活を遂げた道宗道トレイル2025はトレイルランの魅力と地域の歴史文化が融合した大会となった。

大会概要

  • 大会名:世界遺産・五箇山 道宗道トレイル2025
  • 開催日:2025年10月12日(日)
  • 天候:晴れ時々曇り
  • 種目:ロング57K(制限12時間/5:00〜17:00)完走率、ミドル28K(制限8時間/9:00〜17:00)
  • 主催:世界遺産・五箇山 道宗道トレイル実行委員会

 

大会結果

◾️ロング57km 男子

エントリー:180人DNS:15人

出走者数: 165人完走者数:81人完走率: 49.1%

◾️ロング57km 女子

エントリー:17人DNS:1人

出走者数:16人完走者数:6人完走率:37.5%

◾️ロング57km(男女合算)

エントリー:197人DNS:16人

出走者数:181人完走者数:87人完走率: 48.1%

 

◾️ミドル28km 男子

エントリー:266人DNS:29人

出走者数: 237人完走者数:214人完走率:90.3%

◾️ミドル28km 女子

エントリー:86人DNS:8人

出走者数:78人完走者数:71人完走率: 91.0%

◾️ミドル28km(男女合算)

エントリー:352人DNS:37人

出走者数:315人完走者数:285人完走率:90.5%

 

コース設計の舞台裏。1年をかけて練り上げたトレイル

大会準備はおよそ1年前に始まった。雪が降る前の2024年11月、まず取り組んだのはコース選定のための試走だった。通行可能区間の確認や整備の必要性、トレイル率、エイド配置などを精査した。

「走って楽しい」「挑戦しがいがある」

そんなルートを描くために、過去のセルフチャレンジの経験を活かしてシミュレーションを重ねた。大まかなルート設計はできたものの降雪により全コースの確認をすることができずに冬になり、最終的なコース確定は来年の春に行うことに。

道宗道の上部は雪で覆われていた

その年の冬は雪の多かったシーズンとなり、例年以上に春の雪解けが遅れ、全区間をチェックできたのは6月に入ってからになった。危険箇所の確認を経て一部コースを再設計して、最終ルートが確定した。

地元とともに作るトレイル。「道宗道の会」との連携で整備進行

コース整備では、地元団体「道宗道の会」との協力体制が大きな力となった。初回の整備には約20名が集結。参加されている方々は林道状況や車の進入可能エリアを熟知するベテランの皆さんで、効率的かつ的確な整備が行われた。

「こんなに多くの人が集まってくれるなんて」――コースディレクターの筆者は、地元の熱意に驚かされた。

整備で特に印象的だったのは、近年ほとんど利用されていなかった新山峠への登山道整備だ。藪を切り開き、再び人の足が通う道を蘇らせたこの道は赤祖父山を経由するループコースとしても利用できるので、今後の利用してもらい多くの人が歩くことで道が存続できる状態になればと思う。

大会当日の運営。安全を支えたスイーパーとマーシャルの連携

レース当日、ロングのスタートは夜明け前の5時。ミドルは9時にスタートし、いずれも夕方の17時が制限時間となった。大会本部では無線、携帯、そしてGPSトラッキングシステム「IBUKI」を活用し、刻一刻と変化するコース上の状況を把握。競技進行を担当した筆者は、現場の無線を受けながらリアルタイムで把握に努めた。

特にロングの復路(瑞泉寺〜ゴール区間)は技術的にもタフで、スイーパー4名+α体制で安全管理を実施した。初参加のスイーパーもいたが、全員が役割を果たして、一部負傷者は出たものの大きなトラブルなく競技を終えることができた。

競技進行を担当する筆者の中では、

「視野を広く持つことの大切さと難しさを痛感した」

今後の自身の課題として次回へ繋げていきたい。

「人」が大会をつくる。スタッフ・ボランティア・地域の支え

瑞泉寺エイド

大会を終えて最も印象的だったのは、「大会は人がつくる」ということだ。スタッフ、ボランティア、スポンサー、地域住民…その一人ひとりの力が結集し、ひとつの大会がカタチになる。運営の大変さは当然あるが、苦労の先にある達成感や感動、そしてランナーたちの笑顔や時に苦しかったけどチャレンジしてよかったという達成感が、次の挑戦への原動力となると感じた。

縄ヶ池エイド

来年に向けて。「道宗道を、走って、感じて、つなげる」大会へ

今回の大会では、道宗道の豊かな自然と文化、そして地元とのつながりを深く感じる機会となった。道宗道という歴史、信仰の道を舞台に、令和のトレイルランナーたちが新たな足跡を刻む。大会が終わった後からすぐに

「来年のコースはどうしようか。どうすればより魅力的なコース・大会になるのか。」―筆者の頭の中の妄想を膨らましていった。

世界遺産・五箇山 道宗道トレイル はこれからも進化を続けていく。

今回の大会に関わってくださった全ての皆さまに重ねて感謝を申し上げます。

 

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走って47都道府県をめぐる旅「日本一周☆旅ラン」を実施&完走(2015-2016)。 サブスリー達成。トライアスロンアイアンマンレース完走。「走る」を通じて「自然」、「旅」、「人」、「走ること」のすばらしさや楽しさを伝える。